TOKYO PRO Marketの新規上場動向

TOKYO PRO Market(TPM)の2026年1〜9月の新規上場は36社で、前年同期の30社から6社増えました。7〜9月だけでは12社です。上場先の候補として検討する価値はありますが、一般投資家向け市場とは投資家の範囲も審査の仕組みも異なるため、目的から適合性を判断する必要があります。[1][2]

対象は投資受入れ後1〜3年程度のIPO準備初期の企業です。東証TPMの実際の上場を2026年9月30日までで集計し、10月以降の上場予定は含めません。一般市場への上場、市場変更、テクニカル上場は別枠とし、2026年10月5日にJPXの一覧と月次表を照合しています。[1][3]

1〜9月36社と四半期12社の読み方

四半期ごとの新規上場は、1〜3月13社、4〜6月11社、7〜9月12社でした。直近四半期の月別は7月5社、8月4社、9月3社です。前年7〜9月は9社だったため3社増えています。一方、36社は年初来の実績であり、年末までの見込みを含む通年予測ではありません。[1][2]

一般市場の2026年1〜9月IPOは31社なので、TPM36社の方が件数は多くなっています。ただし、両者を合わせた67社から「一般投資家向けのIPOが67社」と説明してはいけません。市場選択を検討する資料では、少なくとも一般市場31社とTPM36社を分けて表示します。[1]

期間2025年2026年
1〜3月10社13社
4〜6月11社11社
7〜9月9社12社
1〜9月合計30社36社

直近の企業名から自社の比較対象を探す

7〜9月の12社には、ラックス建設、レックスアドバイザーズ、and US、元気な介護、PRO HOLDINGS、山八商事、数理技研、インターパーク、レイシャス、応研、カドー、オーリーズが含まれます。この一覧は業種別順位や調達額のランキングではなく、上場日で切った銘柄の集合です。[3]

比較するときは社名の印象で事業を分類せず、JPX掲載の概要等、特定証券情報、上場後の発行者情報まで確認します。自社と同じ業種でも、顧客集中、売上の継続性、設備負担、関連当事者取引の有無が違えば、整備する管理体制も変わります。初期段階では同業と異業種を1社ずつ選ぶと、業種固有の問題と共通の管理課題を切り分けやすくなります。

数値基準がないことと審査がないことは違う

TPMは特定投資家等を対象とした市場で、株主数や流通株式、利益額などの形式的な数値基準がありません。JPXの比較では上場前の監査期間は最近1年間とされています。一方、上場適格性についてはJ-Adviserが調査・確認する仕組みであり、管理体制を確認されない市場ではありません。[4][5]

実質的な確認事項には予算統制、上場予定日から12か月間の運転資金、関連当事者取引の把握と牽制、社内規程の運用、必要な人員、開示体制が含まれます。単に規程を作るだけでなく、誰が承認し、何を記録し、異常をどこへ報告するかまで機能している必要があります。[5]

また、JPX資料で内部統制報告書が任意とされていることから、内部統制そのものが不要だと解釈するのは誤りです。報告書という制度上の提出物と、事業を適切に管理する仕組みは分けて考えてください。[4][5]

J-Adviserは上場後も関わる

J-Adviserは上場前の調査だけでなく、上場後の適時開示への助言・指導や上場維持要件への適合状況の調査も行います。JPXは、この制度が会社や取締役の義務を減免するものではないと説明しています。外部専門家へ判断を任せきるのではなく、社内で情報を集めて意思決定する担当者を決めることが重要です。[6]

東証は2026年7月からJ-Adviserの特徴や強みを紹介する資料を公表し、確認時点のページには8月24日更新版が案内されています。初期の比較では支援分野、上場後の体制、費用の対象業務を確認し、自社の課題に合う候補を選びます。紹介資料の有無や上場支援件数だけで自社との相性が決まるわけではありません。[6]

目的と資金計画を先に整理する

TPMを検討するときは、信用力の向上、社内体制の強化、資金調達、株式流通、資本提携などの目的を順位づけします。特定投資家等を中心とする市場なので、一般投資家への販売や活発な売買を前提とした株主の期待とは、調整が必要になることがあります。上場することだけで必要額の調達や株式の換金を確約できるものではありません。[4][6]

また、後に一般市場へ移る方針があっても、TPM上場によって自動的に移行が認められるわけではありません。2025年にはAlbaLinkがTPMからグロースへ上場した事例がありますが、JPXのIPO月次表はこの1社を一般のIPO数とは別に表示しています。自社の計画でも、現在の市場での目的と将来の市場で必要な準備を分けて検討します。[2][7]

準備初期に作るべき判断材料

実務では、最初に12か月以上の資金繰りを作り、売上が計画を下回るケースでも支払いを続けられるか確認します。次に月次決算、予実差異の説明、役員・関係会社との取引一覧をそろえます。開示を担当する人と承認する人が同じ場合は、追加の確認者や経営会議での点検方法も検討してください。

候補市場を決める前の相談では、直近の試算表、予算、株主構成、資金の必要時期、現在の役割分担を持ち寄ると課題が具体化します。TPMの件数増加は選択肢を調べるきっかけになりますが、自社の目的と運用できる体制の一致が判断の中心です。

TPMを検討する四つの確認。目的を決める:信用・調達・株式流通、条件を確かめる:投資家範囲と資金計画、体制を点検する:決算・牽制・開示、支援者と計画化:役割分担を確認
審査期間の短さを、そのまま準備全体の期間に置き換えないでください。

TPMに向けた管理体制を整理する

TPMを含む市場選択と並行して、月次決算・予算統制・関連当事者取引・開示の役割分担を点検したい方は、荒澤公認会計士事務所へご相談ください。

IPOに向けた管理体制について相談する

参考資料

[1] JPX 最近のIPOの状況 2026年 IPO(東証)TOKYO PRO Market欄

[2] JPX 最近のIPOの状況 2025年 IPO(東証)TPM欄、TOKYO PRO Marketからの上場

[3] JPX 新規上場会社情報 TOKYO PRO Market 2026年 2026年7〜9月の12銘柄、ページ末尾の注記

[4] JPX 概要 TOKYO PRO Market 主な特徴、他市場との比較表

[5] JPX 上場基準 TOKYO PRO Market 上場適格性要件1〜5

[6] JPX J-Adviser制度 J-Adviserとは、J-Adviserのご紹介

[7] JPX 上場廃止の決定 AlbaLink 2025年11月11日公表、TPM上場廃止及びグロース新規上場

本記事は2026年10月5日時点で確認した公表資料に基づく一般的な説明です。具体的な対応は、上場市場、会社の状況、関係専門家との協議等により異なります。 掲載企業の株式等への投資を推奨するものではありません。

ABOUT ME
荒澤尚輝

荒澤尚輝

税理士・公認会計士

登録番号:159000 /41429

四大監査法人にて、主に金融機関に対する法定監査業務に従事。

その後、税理士事務所および公認会計士事務所を設立。創業・会社設立支援、税務顧問、記帳代行を中心に、中小企業や個人事業主の経営をサポートしている。

また、内部統制(J-SOX)構築支援、業務改善支援、IPO(株式上場)に向けた内部管理体制の整備支援など、公認会計士としての専門性を活かしたコンサルティング業務にも対応。監査・会計・税務の知見を活かし、経営者に寄り添った実践的な支援を提供している。

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