2026年7〜9月の東証のIPOは、プライム・スタンダード・グロースの合計で14社、TOKYO PRO Marketで12社でした。一般市場の14社はスタンダード7社、グロース7社です。件数だけで上場の難易度を判断せず、どの市場で、どのような企業が上場したかを分けて読むことが大切です。[1]
本記事は、投資を受け入れてから1〜3年程度でIPO準備の初期にいる経営者・CFO・管理部門を対象に、2026年10月5日確認のJPX資料を用いて、直近の完了四半期を整理します。東証のみの集計であり、全国の取引所を合算した数字ではありません。上場予定、テクニカル上場、市場区分変更はIPO件数に加えません。
まずは上場日と市場の範囲をそろえる
JPXの新規上場会社情報には、実際に上場した企業と、承認済みの上場予定企業が同じ一覧に載ります。たとえば9月中に承認されても上場日が10月以降なら、7〜9月の実績には含めません。承認日で切った集計と上場日で切った集計は別物です。今回の数字は上場日を基準とし、JPXの「IPO(東証)」月次表と個別銘柄を照合しました。[1][2]
また、一覧では会社名の末尾の「*」がテクニカル上場を示します。7月1日のギフティグループはプライム市場の一覧に載っていますが、この区分に該当するため今回のIPOから除外しています。プライムのIPOが0社であることと、プライムの新規上場欄に銘柄があることは矛盾しません。[2]
個別一覧に外国株として表示された対象銘柄はなく、本記事の14社は国内株式会社です。他取引所からの上場やTOKYO PRO Marketから一般市場への上場についても、JPXの別表では当四半期0社でした。TPMの12社は一般市場と分け、合計を示す場合だけ両者を足しています。[1][2]
- 期間:2026年7月1日〜9月30日の実際の上場
- 一般市場:プライム・スタンダード・グロース
- 別枠:TOKYO PRO Market
- 除外:翌四半期以降の予定、テクニカル上場、市場変更
月別では9月に一般市場の上場が集中
一般市場は7月4社、8月1社、9月9社でした。四半期14社のうち9月が9社を占めます。一方、TPMは7月5社、8月4社、9月3社です。合計件数だけを見て「四半期を通じて同じ勢いだった」と読むと、月ごとの違いを見落とします。[1]
スタンダードは7月1社・8月0社・9月6社、グロースは7月3社・8月1社・9月3社でした。どちらも四半期では7社ですが、上場の時期は異なります。自社の決算期、監査対応、開示作業の繁忙期を考える際は、この偏りも参考情報として扱います。ただし、他社の上場月が自社にも適した申請時期であるとは限りません。
| 市場 | 7月 | 8月 | 9月 | 四半期計 |
|---|---|---|---|---|
| プライム | 0 | 0 | 0 | 0 |
| スタンダード | 1 | 0 | 6 | 7 |
| グロース | 3 | 1 | 3 | 7 |
| 一般市場合計 | 4 | 1 | 9 | 14 |
| TOKYO PRO Market | 5 | 4 | 3 | 12 |
前年同期の8社から増加したが年内全体は別に見る
同じ集計範囲で2025年7〜9月を見ると、一般市場8社、TPM9社でした。一般市場は前年同期比6社増、TPMは3社増です。一般市場の内訳は前年のプライム2社・スタンダード2社・グロース4社から、今年は0社・7社・7社へ変わりました。[1][3]
ここから言えるのは、直近四半期の実績件数が増え、構成も変わったということです。金利、株価、審査、企業側の延期などの要因を、この件数表だけで特定することはできません。さらに2026年1〜9月の一般市場は31社で、前年同期の33社より2社少ないため、四半期の増加をそのまま年初来全体の増加と表現しないよう注意が必要です。[1][3]
上場件数と新規資金の調達件数は一致しない
当四半期のクラサスケミカルは、9月29日にスタンダード市場へ上場しました。JPX会社概要には公募・売出しがなく、レゾナック・ホールディングスによるパーシャル・スピンオフであることが記載されています。JPXのIPO集計には含まれますが、典型的なスタートアップの公募増資と同じ資金調達事例として扱うのは適切ではありません。[2][4]
経営者が知りたいのが調達環境であれば、件数に加えて公募と売出しの内訳、調達資金の使途、既存株主の持分、上場後の成長計画を個別に確認します。売出しは既存株主の株式売却であり、会社への新しい資金流入と分けて考える必要があります。
初期準備では市場の観察を管理上の課題へ置き換える
投資受入れ後1〜3年の段階では、市場の件数を理由に上場時期を早めるより、自社が第三者へ継続して説明できる数字を整えることを優先します。まず、月次決算の締め日、売上計上の基準、顧客別・商品別の採算、資金繰りの前提を確認してください。成長計画と管理データが食い違う場合は、その原因を説明できる状態を目指します。
取締役会では「件数が増えたから進める」という結論にせず、希望市場、資金の必要額、監査・管理体制の不足を別々に報告すると判断しやすくなります。同じ市場の企業でも収益構造は異なります。比較対象を2〜3社選び、売上の増え方、利益への転換、事業リスクを自社との違いまで整理する使い方が実務的です。
準備の優先順位を決める際は、未整備の項目を列挙するだけでなく、次回の資金調達や決算に影響する項目から担当者と期限を置きます。監査や審査で必要になる資料の集め方を日常業務の中で試しておくと、期末だけに作業が集中する状態を減らせます。

市場動向を自社の準備計画へ
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参考資料
[1] JPX 最近のIPOの状況 2026年 IPO(東証)7〜9月、他取引所からの上場、TPMからの上場
[2] JPX 新規上場会社情報 2026年 2026年7〜9月の各銘柄、注3・注9
[3] JPX 最近のIPOの状況 2025年 IPO(東証)1〜9月
[4] 東京証券取引所 新規上場会社概要 クラサスケミカル 1頁 事業の内容、公募・売出し、注4
本記事は2026年10月5日時点で確認した公表資料に基づく一般的な説明です。具体的な対応は、上場市場、会社の状況、関係専門家との協議等により異なります。 掲載企業の株式等への投資を推奨するものではありません。

